借金を任意整理するときは、専門家に相談してみよう

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「任意整理」では、借金の取引開始のときまでさかのぼって、現在の利息を利息制限法の上限金利(15%から20%)に引き下げて再計算(引き直し計算)して、借金を減額します。そのうえで、多くの場合は利息を払わなくてもよいという交渉をして、元本のみを3年から5年ほどの分割払いで返済するという内容の和解を貸金業者との間で成立させます。

それ以降はこの和解内容に従って返済を続けることで、借金を整理していきます。

任意整理のメリットとデメリット

利息制限法の上限利率(15%から20%)を超える利息が設定されている場合には、利息制限法による引き直し計算を行い、今までに払い過ぎている利息を元本に充当して債務を減らします。平成19年以前に借りた債務のなかには、上限金利を超える金利の契約が多くあります。

任意整理を行えば、引き直し計算で減額された元本だけを分割返済すればよくなり、利息や遅延損害金を支払う必要がなくなるので、返済の負担が減ります。完済が早まるので、精神的にもとても楽になります。また自己破産や個人再生と比べて、用意する資料が少なく、手続きも簡単です。

さらに、任意整理したい債権者だけを選んで借金の整理をすることができます。これらが任意整理のメリットです。一方、任意整理のデメリットについてですが、任意整理を行ったことが信用情報機関に情報登録され、今後5年間ほど借金が不可能になります。

また自己破産や個人再生と比較すると、減額される借金がそれほど多くありません。さらに、過払い金の請求が増えてきているため、経済的にひっ迫する貸金業者が多くなり、和解の条件が厳しくなりつつあります。

(【借金問題の解決】自己破産を専門家に相談する)

任意整理をするとなぜ借金が減るの?

ここでは、任意整理をすると借金の総額が減額されることについて説明します。利息制限法では金利の上限を15%から20%と定めており、貸金業者が利息制限法の上限を超えた金利を設定しても、超えた部分は法律上無効となります。

しかし、改正貸金業法が施行される前、出資法では刑事罰の対象となる金利の上限を決めていました。出資法では上限金利を29.2%としており、それを超えた金利を設定している場合には、刑事罰が科せられていました。

要するに、利息制限法の上限金利の20%を超えて利息を設定しても、出資法の29.2%を超えなければ、刑事罰は科されなかったのです。

この範囲の金利は「グレーゾーン金利」と呼ばれており、貸金業者はこの方法で違法な金利を取っていました。

任意整理では、借金の取引開始時にさかのぼって利息制限法の上限金利に金利を引き下げて引き直し計算を行い、払い過ぎていた金利分を元本に充当させます。そのため、払い過ぎていた「グレーゾーン金利」に当たる金額が減ることになります。

また、元本を超えて返済している場合もあるので、それが「過払い金」となり、貸金業者に過払い金の返還請求ができるわけです。借金の総額や毎月の返済額がどのぐらい減るのかについては、個々の事例によって異なりますが、たとえば信販会社4社からの借入総額が280万円、毎月の返済額が145,000円であり、「グレーゾーン金利」がない場合、借金の総額は変わりませんが、毎月の返済額は約38,000円となりだいぶ減額されます。

任意整理の手続きの流れはどうなるの?

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任意整理の手続きの流れについてですが、まず貸金業者に対して受任通知を発送すると同時に、貸金業者からの取立てがストップします。つぎに貸金業者から提出された取引履歴明細書を検討し、上限金利に基づく引き直し計算を行います。

そして引き直し計算をした債務の金額を貸金業者に示し、将来の利息を除いて、何年で分割払いするという内容の和解案を示し、交渉します。和解が確定したら、和解内容を確認するための合意書を作り、和解契約を行って手続きが終わります。

債務者は合意書に書かれた和解内容に基づき、貸金業者の指定する口座に毎月、分割金額を振込んで返済します。

クレジットカードの任意整理をするときは要注意!

クレジットカードの任意整理をするときには注意が必要です。任意整理の手続きを開始する前にカードの支払いを中止する必要があります。しかし、カードの支払い方法が銀行口座からの引き落としだと、銀行の対応に時間がかかって間に合わず、しばらくの間は引き落としが中止にならないのです。

そのため、口座残高をゼロにして、引き落としされないようにしなければなりません。また、クレジットカード払いにしている公共料金や携帯電話料金等の支払い先を変えておく必要があります。

また、クレジットカードのショッピングローンも任意整理をすることができますが、要注意です。

任意整理をすると、購入した商品を引き取りにくることがあります。たとえば車や宝石、家電など高額な物の場合、換金が可能ですから、クレジット会社が商品を引き揚げにくるのです。商品を引き取られたくない場合には、任意整理のリストからそのショッピングローンをはずして、任意整理をしないようにする必要があります。

もしそのカードでキャッシングをしている場合、キャッシングだけ任意整理をして、ショッピングローンをはずすことはできないので、注意しましょう。

任意整理後にまた支払えなくなったら?

任意整理をした後に、失業したり病気をしたりして、再度、支払いができなくなることがあります。任意整理をしたときの和解契約では、2回分以上支払いを滞納すると「期限の利益」を失い、一括請求を受けることになると記されることが多いです。

ということは、1回だけ滞納したのであれば一括請求を受けませんし、翌月に2回分の支払いをすれば問題がありません。しかし2回以上滞納をしてしまった場合、翌月に2回分の支払いをしても、分割払いに戻すことはできず、残りの借金に対して遅延損害金が発生します。

その後、もう一度分割払いにしたいときには、再度、任意整理と和解をしなければなりません。しかし信用をなくしていますから、最初と同じ条件で和解ができるとは限らず、1度目の任意整理のときよりも条件が悪くなる場合があります。

たとえば、それまでは5年払いであったのが、支払い期間を3年に短縮されたり、毎月の支払い額が上がったりすることがあるので、気をつけましょう。

(借金について相談したい。公的機関を利用できる?)

弁護士と司法書士、どちらに依頼すればいいの?

任意整理は弁護士はもちろんのこと、司法書士でも手続きができます。ただし、司法書士が手続きできるのは、個別の借金額が140万円以内のものに限られます。その点、弁護士の場合は金額に制限がありませんし、債務整理手続きも制限がないため、万が一の場合は、個人再生や自己破産の手続きに移行することもできます。

弁護士よりも司法書士のほうが費用が安くすむというメリットがあるため、自分の借金の個別の金額をよく確かめ、弁護士と司法書士のどちらを選べばよいのか、よく考えましょう。